ベランダの防水工事を検討しているものの、
- どんな方法があって
- どれが自分の家にあっているのか
- どのくらいお金がかかるのか
このような点が気になっている方のために、主に4種類あるベランダ防水工事のそれぞれの違いや長所と短所、費用と合わせて、損をしない業者の選び方までまとめました。
本記事がご自宅のベランダ防水工事のお役に立てましたら幸いです。
- 洗濯などでベランダをよく利用するならFRP防水がおすすめ
- 面積が広いなら維持費用が安いシート防水がおすすめ
- ウレタン防水は立地や床の材質を選ばない
ベランダの床の防水はどんな構造なのか?

こちらがベランダやバルコニーの床の防水構造のイメージを図にしたものです。
ベランダやバルコニーの床の防水構造を簡単にお伝えすると、床面(下地)、素地調整、防水層、トップコートの主に4種類から作られています。
防水の役割で重要なのは、防水層とトップコートですが、防水層には、
- FRP防水
- ウレタン防水
- シート防水
- アスファルト防水
と4種類の素材があります。
ただ、アスファルトに繊維を混ぜたアスファルト防水は屋上向けであるため、ベランダに使われることはまずありません。
ベランダの防水方法は、トップコートの塗装のみ、FRP防水、ウレタン防水、シート防水と主に4種類の防水方法がある。
ベランダ防水工事が必要な状態とは?
続いて、ベランダやバルコニーの防水工事が、そもそも必要な状態なのかについてお伝えします。各劣化状態がどのようなサインを示しているのかをまとめました。
色あせ

ベランダの色あせは、表面が傷んでいる状態で、防水層まで劣化している状態ではないため、トップコートを塗り直すメンテナンスが必要です。
トップコートのメンテナンスの時期は、5年〜10年の経過が1つの目安であるため、過ぎているのであれば、トップコートの塗り替えを検討する必要があります。
ひび割れや剥がれ

ベランダのひび割れは、数センチくらいの小さなものであれば、表面の劣化であるため、トップコートの塗り替えで済みます。
ただ、大きなひび割れや剥がれがある場合、防水層まで劣化が進んでいるため、防水工事が必要になります。
防水シートに浮きがある場合では、防水層の下まで劣化が進んでいる可能性があり、下地の工事まで必要な可能性があります。
水が流れない
水が流れずベランダに溜まってしまうのは、防水工事が必要なケースもありますが、単に排水口にゴミが詰まっているケースや、自然に流れるようになる傾斜がないケースもあります。
排水口の掃除をして水が流れて行かない場合は、業者に依頼して状態を見てもらいましょう。十分な傾斜がない場合は、勾配(こうばい)を作る必要があります。
苔や植物
苔が生えている場合は、掃除をして綺麗に取り除けば問題ありません。
植物が生えている場合は、成長する過程でベランダの部材を壊してしまう危険性もあるため、発見したらすぐに取り除くようにしましょう。
何度も生えてくるようであれば、工務店にリフォームを含め相談をするのがおすすめです。
雨漏り
雨漏りが発生している状態は、ベランダの防水機能が失われているため、早急に修理をする必要があります。
応急処置だけでは、建物内部の劣化が進み、大切なご自宅が傷んでしまう危険性があるため、業者に連絡をして修理しましょう。
ベランダ防水工事4種類の違いと費用まとめ
ベランダ防水工事名 | 工事する場所 | 工事内容 | 特徴 | 耐用年数 | 費用相場(㎡) | 工事日数 |
---|---|---|---|---|---|---|
トップコート塗り替え | 表面 | 表面のコーティングの塗り替え | ・軽い傷の補修用 ・DIYも可能 | 5年〜10年 | 1,500円〜3,000円 | 1日〜2日 |
FRP防水 | 防水層 | プラスチック繊維を敷き樹脂で固める | ・衝撃に強い ・ベランダの使用頻度が高い方向き | 10年〜12年 | 4,000円〜8,000円 | 1日〜2日 |
シート防水 | 防水層 | 塩化ビニールやゴムのシートを床に貼る | ・日差しに強い ・耐用年数が長い ・面積が広いベランダ向き | 10年〜20年 | 3,500円〜7,500円 | 1日〜4日 |
ウレタン防水 | 防水層 | 液状のウレタン樹脂を塗って固める | ・撥水性がある ・ベランダの形状や素材を選ばない | 10年〜15年 | 3,500円〜7,500円 | 3日〜10日 |
こちらが4種類あるベランダ防水工事の特徴や耐用年数、費用相場、工事日数などを比較した表です。
それぞれの特徴やメリットデメリットなどを詳しくお伝えします。
トップコート塗り替え

トップコート塗り替えは、ベランダ表面の層を塗り替えるメンテナンス工事です。
表面のみで防水層の工事は不要なため、費用が1,500円〜3,000円/㎡と安く、DIYでもメンテナンスできる手軽さがあるのはメリットです。
ご自身で行う場合は、1万円ほどでできますが、業者に依頼した場合、3万円〜5万円ほどが目安になります(10㎡前後の面積を想定)。
デメリットとしては、防水層が耐用年数を迎えると防水工事が必要になることです。
また、ご自身で塗る場合、費用は安いですが、その道のプロである職人さんが塗った方が長持ちする可能性が高いです。
FRP防水

FRP防水は、シート上のプラスチック防水繊維を貼って固める防水工事で、費用は4,000円〜8,000円/㎡が相場です。
FRPはFiber Reinforced Plasticsの略で、日本語では繊維強化プラスチックを意味します。防水性を持ち軽くて強度があるため、ロケットや自動車などにも使われる素材です。
FRP防水のメリットは摩擦や衝撃に強いことで、工期が短いのも特徴です。そのため、洗濯などでよくベランダを利用するのであれば、合っている工事方法です。
一方で、紫外線には弱い特徴を持ち、他の防水工事と比較して若干費用が高いので、広いベランダには向かないのがデメリットです。
また、伸縮性がウレタンなどと比較して優れていないため、木造の場合、木の伸縮によりひび割れする可能性があり向きません。それ以外にも、下地が鉄の場合は、施工ができないデメリットがあります。
FRP防水工事の工程は、FRPシートを敷いて、その上にトップコートを塗り、乾燥したら完成です。乾燥に時間を要するのがトップコートのみのため、日数は1日〜2日と短く済みます。
シート防水

シート防水の素材には、ゴムシートと塩化ビニールシートがありますが、現在は耐用年数が長い塩化ビニールが主流です。費用は3,500円〜7,500円/㎡が相場です。
シート防水のメリットは、紫外線に強く、トップコートを塗る必要がないため、メンテナンスの頻度が少なく済むことです。また、FRP防水が向かない広いベランダに向いています。
一方で、デメリットとしては、平たいベランダにしか利用できないため、凸凹した床では工事ができないことです。
寿命は15年〜20年で、耐用年数を過ぎると劣化が早く、割れやすくなるので、再度工事が必要になります。
その他にも、シートを溶かしてくっつける作業は技術力がいるため、熟練した職人さんの腕が必要になります。
シート防水工事の工程は、下地を作り、防水シートを敷いて、熱で溶かしてくっつけることで完成します。日数は2〜4日かかります。
ウレタン防水

ウレタン防水は、伸縮性に優れた液状のウレタン樹脂で床を塗り固める防水工事です。
ウレタン防水のメリットは、液状のウレタンを使うため、シートの工法と比較してベランダの材質や形状、面積を問わずに施工できることです。
一方で、デメリットとしては、液状なので均等に塗るのに職人さんの技術力が必要な点や、工期が長い点です。また、寿命は10年〜15年で、耐用年数が過ぎると劣化が早いので再度工事が必要です。
ウレタン防水工事の工程は、ウレタンを塗って、トップコートを塗って、乾いたら完成です。
文面ではシンプルに見えますが、他の工法と比べて、液状のウレタンの層を重ねるので、工期は3日〜10日と長くなります。
ベランダ防水工事で失敗しない業者の選び方
ベランダの防水工事で失敗しないためには、費用と工事の質の2つの観点から業者を選ぶことが重要です。
まず、費用面で考えると、新築時のハウスメーカーに頼むのはNGです。理由は、防水工事を施工するのはハウスメーカーではなく、下請けの工務店だからです。
ハウスメーカーに手数料を上乗せされて、相場より費用が高額になるため、工務店に直接依頼した方が費用が安く済みます。
ご自身で業者を選ぶとなると品質が保証されてなくて怖いと感じるかもしれませんが、相見積もりサービスを使うことで、品質面や業者を探す手間に関するデメリットを解消できます。
相見積もりサービスを利用すると、一度に複数の業者の見積もりを取ることができ、費用が安い業者を選ぶことができるだけでなく、複数の業者からベランダの現状分析を聞くことができます。
そのため、専門性がより高く、質が高い業者を選ぶことができるため、品質面でも失敗しにくくなります。
まとめ
ベランダの防水工事は表面の補修だけで問題なければ、トップコートの塗り替えだけで大丈夫です。
ただ、防水層まで劣化している場合、防水工事を行う必要があります。防水層は大きく分けて、
- FRP防水
- シート防水
- ウレタン防水
の3つがあります。
FRP防水は、木製や金属製の床には伸縮性が低いため向きませんが、ウレタン防水よりメンテナンス費用が安く強度があるため、洗濯などでベランダをよく利用する場合におすすめです。
シート防水は、紫外線に強く、トップコートが不要で維持費が安いので、長期的なコスパを重視する場合や面積が広い場合に合っています。
ウレタン防水は、ベランダの材質や立地に左右されない特性を持っています。
このような特徴を踏まえた上で、ご自宅の状況に合った防水工事を業者と相談して選ぶことが、ベランダ防水工事の失敗を回避することに繋がります。