外壁塗装の塗装方法は、
- 吹き付け塗装
- ローラー塗装
の2種類があります。
現在の塗装方法はローラー塗装が主流ですが、建物の立地条件や施工範囲、仕上がりなどを考慮して吹き付け塗装を採用することもあります。
この記事では吹き付け塗装について知りたい方のために、
- 外壁の吹き付け塗装とは?
- 吹き付け塗装のメリットとデメリット
- 吹き付け塗装の種類
- 吹き付け塗装に使用する機械
- 吹き付け塗装の費用相場
- ローラー塗装との比較
- 吹き付け塗装で業者さんを見極めるポイント
こちらの内容をお伝えします。
この記事をご覧いただくだけで、吹き付け塗装について一通り理解できる情報をお届けしていますので、外壁塗装を成功させるためにご一読下さい。
- 吹き付け塗装は意匠性のある仕上げを作れる
- 吹き付け塗装のメリットは仕上がりがきれいで施工範囲が広いと費用が抑えられる点
- 吹き付け塗装のデメリットは作業音がうるさく養生に手間がかかる点
- 吹き付け塗装の費用相場は1,800円~3,500円/㎡が目安
外壁の吹き付け塗装とは?
外壁の吹き付け塗装とは、スプレーで塗料を外壁に吹き付ける作業のことで、特徴は意匠性のある仕上げを作れるところです。
凹凸やトゲトゲ、ザラザラのような仕上げは吹き付け塗装でしか表現できません。
そのため、仕上がりにこだわりのある方は吹き付け塗装を選ぶのも1つの方法です。
もちろん、意匠性のある仕上げを作るだけではなく、普通に塗装することもできます。
吹き付け塗装のメリット
吹き付け塗装のメリットは、
- 仕上がりがきれいになる
- 仕上がりにムラが出にくい
- 施工範囲が広いと工期短縮できる
- 施工範囲が広いと費用が抑えられる
などがあります。各項目についてご説明します。
仕上がりがきれいになる
吹き付け塗装はいろいろな模様を表現でき、きれいに仕上げられるメリットがあります。
模様にこだわりのある方には、吹き付け塗装がおすすめです。
仕上がりにムラが出にくい
吹き付け塗装は、ローラーやハケに比べて塗装にムラが出にくく、仕上がりが均一になります。
特にハケは塗った跡が残ってしまうことが多いので、吹き付け塗装に比べて仕上がりが劣ります。
施工範囲が広いと工期短縮できる
吹き付け塗装は広範囲を塗装する際、スムーズに作業できるため工期が短縮できます。
細かな場所の作業は不向きなところがありますが、施工範囲が広ければ広いほど工期を短くできます。
施工範囲が広いと費用が抑えられる
工期を短縮できるということは、その分人件費が抑えられます。
ローラー塗装に比べて費用が抑えられますが、逆に施工範囲が狭いと割高になる可能性がある点は注意が必要です。
吹き付け塗装のデメリット
吹き付け塗装のデメリットは、
- 養生に手間がかかる
- 近隣住民への配慮が必要
- 作業音がうるさい
- 施工範囲が狭いと工期がかかる
- 塗料の無駄が多い
- 職人さんの技術が必要
があります。各項目についてご説明します。
養生に手間がかかる
吹き付け塗装は、噴射して作業するため飛散することが多いです。
ですので、塗装しない場所の養生をしっかり行う必要があります。特に外壁に窓が多い場合は養生に手間がかかります。
近隣住民への配慮が必要
吹き付け塗装に限ったことではありませんが、吹き付け塗装の際は特に塗料が飛散する可能性が高いため、近隣住民への配慮が必要です。
強風の際は作業を中止することがありますが、塗料の飛散はもちろん、臭いや音が発生するので、事前にご挨拶することをおすすめします。

作業音がうるさい
吹き付け塗装は、スプレーガンを使用しますので機械音が発生します。
防音タイプの機械もありますが、それでも音は出ますので、テレワークなどご自宅で仕事をしている方は、仕事場を事前に確保しておく必要があります。
施工範囲が狭いと工期がかかる
吹き付け塗装はしっかりした養生が必須です。
施工範囲が狭いと養生に時間がかかり作業性が良くてもそれほど工期を短縮できず、ローラー塗装と比較して工期がかかってしまいます。
塗料の無駄が多い
吹き付け塗装は、塗料が飛散しやすくローラー塗装と比較して塗料の使用量が多いです。
また、均一に仕上げるためにどうしても養生している場所にも吹き付ける必要があり、塗料に無駄が出てきてしまいます。
職人さんの技術が必要
吹き付け作業は難易度が高く、慣れていない職人さんが作業すると、塗りムラや塗りそこねが出てきてしまいます。
熟練の慣れた職人さんに作業してもらうようにしましょう。
吹き付け塗装の仕上げの種類
仕上げの種類 | メリット | デメリット |
---|---|---|
一般的な仕上げ | 他の仕上げと比べて安価 | 意匠性が劣る |
リシン仕上げ | 安価なわりに意匠性がある | 汚れが付きやすい ひび割れしやすい |
スタッコ仕上げ | 重厚感がある | 汚れが付きやすい |
吹き付けタイル仕上げ | ひび割れが目立ちにくい | 費用と時間がかかる |
こちらが主な吹き付け塗装の仕上げの種類とメリット・デメリットです。
吹き付け塗装には主に以下の4種類の仕上げがあります。
それぞれにメリットデメリットがありますので、理解しておく必要があります。
一般的な仕上げ
一般的な塗料を吹き付けする工法です。仕上げをムラなくきれいにしたい方に向いています。
メリットは、特殊な模様を付けませんので他の仕上げより安価なことです。
デメリットは、他の仕上げと比べて意匠性が劣ることです。
リシン仕上げ
リシン仕上げは、塗料と骨材を混ぜ合わせた材料を吹き付ける工法です。凹凸を付けたい方に向いています。
リシン仕上げのメリットは、安価なわりに意匠性が高いことです。
一方、デメリットは、汚れが付きやすく、ひび割れしやすいことです。

スタッコ仕上げ
スタッコ仕上げは、外壁に合成樹脂を塗ったあとにセメントや塗料、骨材を吹き付ける工法です。
吹き付けしたあとにローラーで押し付けて平坦な模様に仕上げる方法もあります。
独特な模様を付けたい方に向いています。
スタッコ仕上げのメリットは、厚みがあり重厚感がある点です。
デメリットは、汚れが付きやすい点です。

吹き付けタイル仕上げ
吹き付けタイル仕上げは、模様付けのための材料を吹き付けてから、一般的な塗装を吹き付ける工法です。
マンションの外壁などにはよく使われる工法です。
メリットは、表面が滑らかでひび割れが目立ちにくい点です。
デメリットは、模様付けが難しく、費用と時間がかかる点です。
吹き付け塗装で使用する機械
機械 | 特徴 | 用途 | メリット | デメリット |
---|---|---|---|---|
エアスプレー | 圧縮空気を利用 | 特殊な仕上げ | 仕上がりがきれい | 飛散しやすく、塗膜が薄くなることがある |
エアレススプレー | 塗料に直接圧力をかける | 外壁の下塗り | 塗料が無駄になりにくい | 小物や狭い範囲が不向き |
こちらが吹き付け塗装で使用する機械の特徴などをまとめた表です。
吹き付け塗装で使用する機械は、
の2種類があります。
用途によって使い分けますが、それぞれに特徴やメリットデメリットがありますので、どちらが適切かを判断する必要があります。
各機械について具体的な情報をお伝えします。
エアスプレー
エアスプレーは、
- 吸い上げ式
- 重力方式
- 圧送式
があり、どれも空気を圧縮しミスト状にして吹き付ける塗装です。
エアスプレーは、吹き付けタイル、スタッコ、リシンなど、吹き付けでなければ表現できない仕上がりの際に使用します。
エアスプレーのメリットは、塗料をミスト状にして噴射するため、塗装面をきれいに仕上げることができる点です。
一方、デメリットは、エアと共に噴射するので飛散しやすく、手元が狂うと塗膜が薄くなることがあり、職人さんの腕が問われる点です。
続いてそれぞれの方法について簡単にお伝えします。
吸い上げ方式
スプレーガンの根元に塗料カップがあり、塗料の供給に追われることなく作業できます。
重力式
塗装の範囲が少ない場所や塗装の色替えが多い場所に使用します。
圧送式
スプレーガンの根元に塗料カップがなく、別に塗料を用意してホースからスプレーガンに塗料を供給して塗装します。上下左右あらゆる方向から吹き付けが可能です。
エアレススプレー
エアレススプレーは、空気は利用せず塗料に直接圧力をかけて噴射する仕組みで、外壁の下塗り材に使用します。
庭に水をまく際にホースの先端を指で押さえて水を霧状にするのと同じ原理です。
塗料に80~200kg/㎠程度の高圧をかけ、スプレーガンの噴き出し口を絞ることで塗料をミスト状にします。
ポンプ式のもの(プランジャポンプ)や、エンジン駆動式のもの(エアレス塗装機)があり、粘度の高い塗料でも利用できます。
エアレススプレーのメリットは、エアスプレーに比べて塗料が無駄になりにくいことです。
端部を塗る際は、吹き付けの性質上どうしても無駄が出てしまいますが、エアレススプレーはエアスプレーに比べて空気を使用しないため無駄になりにくいのです。
一方で、デメリットは、エアスプレーより粒子が粗いため高級な塗装に不向きな点です。また、細かい塗装をするために圧力を下げると塗料がミスト状にならないため小物や狭い範囲の塗装には不向きです。
吹き付け塗装の費用相場
仕上げ | 費用 |
---|---|
一般的な吹き付け | 1,800円〜2,000円/㎡ |
リシン | 2,000円~2,200円/㎡ |
スタッコ | 2,000円~2,200円/㎡ |
吹き付けタイル | 2,500円~3,500円/㎡ |
こちらが吹き付け塗装の仕上げと費用相場を表にしたものです。
費用相場は、使う塗料によっても金額が前後する場合があります。
吹き付け塗装とローラー塗装の比較
外壁塗装には、
- 吹き付け塗装
- ローラー塗装
の2種類の工法がありますが、どのような違いがあるのでしょうか。
比較表を作成しましたので、参考にしてください。
項目 | 吹き付け塗装 | ローラー塗装 |
---|---|---|
使用する道具 | スプレーガン(エアスプレー、エアレススプレー) | ローラー |
費用 | 施工範囲が広ければ広いほどローラー塗装より安い | 施工範囲が狭い場合は安い |
養生時間 | 時間がかかる | 吹き付け塗装に比べてかからない |
塗料の飛散 | 多い(風が強い日は特に) | 少ない(ローラーを転がすスピードが早いと飛散する) |
塗料の量 | 標準量より多く使用 | 標準量 |
作業音 | 機械音がうるさい | 目立った音はない |
作業性 | 施工範囲が広ければ広いほど早い | 吹き付け塗装に比べて遅い |
仕上がり | きれいで意匠性のある仕上げが作れる | 吹き付け塗装に比べてムラが出てしまう可能性がある |
職人の技量 | 熟練している必要がある | 技量による差が比較的出にくい |
どちらの工法もメリットデメリットがありますので、施工範囲や仕上がり、費用などを考えて選定するようにしましょう。
ただ、吹き付け塗装は、住宅が密集している地域では難しいケースもあり、実質的にローラー塗装しか選べないといった場合もあります。
また、吹き付け塗装はモルタル外壁をきれいに仕上げるのに適した塗装方法ですが、最近ではサイディング外壁が人気で仕上がりに差が出にくいことから、ローラー塗装で施工されるケースが増えています。
吹き付け塗装で業者さんを見極めるポイント
吹き付け塗装は、職人さんの技術力が物を言う作業です。
慣れてない職人さんが作業してしまうと塗りムラや塗りそこねが出てしまいます。
また、しっかりと養生しないと、塗装しなくていい部分まで塗装が付着してしまうため、そのような事態を避けるために吹き付け塗装で業者さんを見極めるポイントをご紹介します。
相見積りを取得する
これはどの工事にも当てはまりますが、相見積りを取得しないと比較することができません。
必ず複数社から見積りを取得するようにしましょう。
見積りを取得したら、価格を比較するだけでなく、それぞれの業者さんに今までの吹き付け塗装の実績を聞いてみましょう。
近年では吹き付け塗装を施工するケースが減っているため、吹き付け塗装が得意な職人さんがいるのか業者さんに確認することが重要です。
ご自身で相見積もりを取るのは手間と労力がかかるため、優良業者紹介サービスを使うのも1つの方法です。
養生がしっかりしているか
作業中のポイントとして養生をしっかり丁寧に実施しているかが重要です。
施工前に見極めるためには、相見積もりした業者さんのホームページを見て、施工中の様子の画像がないか確認する方法があります。
吹き付け塗装は飛散が多いので養生は非常に大事です。養生がしっかりしていれば塗った場所と塗らなかった場所の境がはっきり出て見映えは非常にきれいです。
スプレーガンを両手で持つのかどうか
スプレーガンを使ってどうやって塗装するのか知りたいので、施行中の写真を見せていただけませんか?
といった質問を業者さんにしてみるのも1つの方法です。
スプレーガンから出る塗料は基本的に一定量なので、手元が狂うと塗りムラや膜厚の違いが出てしまいます。
そうならないために、しっかりとスプレーガンを両手で持って作業しているのか確認してみるのも1つです。
ただ、中には片手の方が作業しやすいという職人さんもいますので、片手の作業だけで判断はせず、総合的な判断の中の1つの材料にしましょう。
まとめ
吹き付け塗装の一番の特徴は意匠性のある仕上がりを作れるということです。
吹き付け塗装でないと難しい仕上げがあり、施工範囲が広い場合は工期を短縮できたり、費用を抑えられるなどのメリットがあります。
その一方で、施工範囲が狭い場合には費用が高くなったり、工期が伸びる可能性があったり、職人さんの技術が必要な点や、作業音がうるさいというデメリットもあります。
近年ではローラー塗装の方が使われるケースが多いですが、こだわった仕上がりを求めるのであれば吹き付け塗装がおすすめです。
この記事が外壁塗装成功のための1つの材料になれば幸いです。
