「屋根の葺き替え(ふきかえ=屋根全体を入れ替えること)を検討しているけど、お金がかかりそうで心配…」
そのような悩みにお答えするべく、
- 屋根葺き替えの費用相場はどのくらいなのか
- 屋根葺き替え以外の修理方法は何があるのか
- どんな工事をしてどれくらいの期間が必要なのか
- 屋根材ごとの費用の違い
- 屋根材ごとのメリットデメリット
などをまとめてお伝えいたします。
場合によっては、屋根の葺き替えでなく、葺き直しや重ね葺き、一部修理や屋根塗装が適切なケースもありますので、他の修繕方法についても触れております。
本記事が、屋根の修理で最適な選択をいただくためのお役に立てましたら幸いです。
- 屋根の葺き替えの費用相場は150万円〜250万円(30坪の場合)
- 屋根材によって耐用年数が異なる
- 屋根の葺き替えは、屋根全体や内部に劣化があるケースに適している
屋根の葺き替えの費用相場・価格と他の修理方法との比較
修理方法 | 修理内容 | 費用相場 | 工期 | 選択するケース |
---|---|---|---|---|
葺き替え | 屋根全体の入れ替え | 150万円〜250万円 | 10日〜15日 | 劣化が屋根全体に及んでいるケース |
葺き直し | 屋根の下地の修理後、和瓦を敷き直す | 100万円〜200万円 | 7日〜10日 | 和瓦屋根の下地に劣化があるケース |
カバー工法 (重ね葺き) | 新しい屋根材・下地を被せる | 80万円〜120万円 | 5日〜10日 | 葺き替えより予算を抑えたいケース |
部分修繕 | 屋根材の一部を修理 | 5万円〜50万円 | 1日〜4日 | 劣化範囲が限定的なケース |
屋根塗装 | 屋根材の塗装・メンテナンス | 30万円〜50万円 | 10日〜15日 | 屋根材のメンテナンスと美観の回復 |
こちらは屋根の葺き替え工事の費用相場や工期を比較した表です。葺き替えの費用は、150万円〜250万円(30坪の場合)が相場です。
屋根の葺き替えは、工期が7日〜15日と長く、費用も高めですが、防水シートなど屋根の内部の状態を確認でき、屋根全体の修理をすることで住宅の耐用年数を伸ばすことに繋がります。
屋根の葺き替え以外の修理方法の費用が安い理由
屋根の葺き替え以外の修理方法の費用が安い理由をお伝えします。
葺き直しの費用が安くなるのは屋根材を再利用できるから
葺き替えは、瓦屋根だけでなく、スレートや金属の屋根を入れ替えることも含まれますが、葺き直しは、屋根材を外したあと再度葺き直しできるのは和瓦屋根のみです。
これは、スレートや金属でできた屋根は、剥がした後に再利用ができないためです。
現在、ご自宅が和瓦屋根である場合は、既存の瓦を再利用できるため、葺き直しの方が新しい屋根材の費用がかからず、その分費用が安く済みます。
カバー工法の費用が安くなるのは屋根材を取り除く費用などがかからないから
カバー工法は、既存の屋根材を取り除く費用や防水シートの修理費用がかからないため、安く済むメリットがあります。
一方で、防水材など屋根材より下の部材の劣化を見れないことや、屋根が重くなるため地震に弱くなるといったデメリットがあります。
地震は、家に使われている部材が重いほど、家にかかる負荷が大きくなります。そのため、耐震面で不安がある場合は、葺き替えの方が考えにマッチしています。
部分修繕や屋根塗装は屋根の耐用年数を伸ばすための方法
部分修繕は、屋根の一部を直すだけであるため、費用が安くなります。
費用が安いことはメリットですが、部分修繕した後に、他に修理が必要な場所が見つかるなどして、葺き替えが必要になる可能性があることはデメリットになります。
屋根塗装は、この中では少し色合いが違いますが、定期的に塗装によりメンテナンスすることで、雨や紫外線などの劣化から屋根を守り、耐用年数を伸ばすことに繋がります。粘土系の和瓦屋根の場合は、塗装は不要です。
屋根材ごと費用相場と耐用年数からみる葺き替え時期の目安
屋根材の名称 | 素材 | 屋根材の耐用年数 | 塗り替え周期 | 費用相場(㎡) |
---|---|---|---|---|
スレート屋根 | セメント | 25年〜30年 | 8年〜10年 | 4,000円〜8,000円 |
トタン屋根 | 金属 | 10年〜20年 | 10年〜15年 | 4,000円〜6,000円 |
ガルバリウム鋼板 | 金属 | 25年〜30年 | 10年〜15年 | 6,000円〜9,000円 |
セメント系瓦 | セメントなど | 30年〜40年 | 8年〜10年 | 5,000円〜10,000円 |
粘土系瓦(和瓦) | 粘土 | 30年〜100年 | 不要 | 8,000円〜12,000円 |
アスファルトシングル | ガラス繊維 | 20年〜30年 | 10年〜15年 | 3,500円〜16,000円 |
こちらが屋根材の種類と耐用年数、葺き替えする場合の屋根材の費用相場です。
粘土系瓦の屋根は、耐用年数が非常に長いですが、スレートや金属系の瓦は30年前後が葺き替えを検討する1つの時期と言えるでしょう。
葺き替えをする際の屋根材の選び方
現在の屋根材 | 葺き替えする屋根材 | メリット | デメリット |
---|---|---|---|
スレート | スレート | 費用が安い | 耐用年数が短い |
スレート | 金属屋根 | 耐震性の向上 | 費用が高め |
スレート | 瓦 | – | – |
金属屋根 | スレート | 費用が安い | 屋根の重量が増す |
金属屋根 | 金属屋根 | 耐用年数が長め | 費用が高め |
金属屋根 | 瓦 | – | – |
瓦 | スレート | 費用が安い | 外観が大きく変わる |
瓦 | 金属屋根 | 耐震性の向上 | 外観が大きく変わる |
瓦 | 瓦 | 耐用年数が長い | 費用が高い |
こちらが葺き替えをする際の、代表的な屋根材のメリットデメリットをまとめた表です。
スレート→和瓦、金属屋根→和瓦の項目にメリットとデメリットが記載されていないのは、重量の兼ね合いから行われることがほぼないからです。
和瓦は、スレートや金属屋根と比較して、7〜9倍の重量があります。そのため、スレートや金属屋根を置くことを前提に作られている住宅に和瓦をのせることは難しいケースが多いです。
スレートは、価格が安いことがメリットですが、金属屋根の方が軽く、耐震性が向上するメリットがあります。
瓦は、費用が高く、耐震面でも重量が重くマイナスに働きますが、瓦自体の耐用年数が長いのがメリットです。
屋根の葺き替えにかかる費用の内訳や見積書明細の一例
項目 | 単価 | 数量 | 金額 | 備考 |
---|---|---|---|---|
足場代 | 750円 | 200㎡ | 15万円 | |
養生代 | 200円 | 200㎡ | 4万円 | |
既存の屋根材の撤去・処分費 | 1,600円 | 100㎡ | 16万円 | |
下地(野地板)の設置費 | 2,000円 | 100㎡ | 20万円 | |
防水シートの材料・設置費 | 650円 | 100㎡ | 6万5,000円 | |
屋根材の材料・設置費 | 5,250円 | 100㎡ | 52万5,000円 | |
棟の材料・設置費 | 2,500円 | 12m | 3万円 | |
軒先・ケラバの材料・設置費 | 1,750円 | 30m | 5万2,500円 | |
諸経費 | – | – | 12万2,250円 | 工事費の10% |
合計(税込) | – | – | 147万9,225円 | 消費税10% |
こちらがスレートからスレートへ葺き替える費用の内訳・見積もり明細の一例を表にしたものです。
ご自宅の屋根の形状や面積、現在の屋根材の種類によって、費用は前後します。
仮にご自宅の屋根にアスベストが含まれていた場合、撤去費用が20万円超と高額になるため、葺き替えではなくカバー工法が使われることが多くなります。
屋根の葺き替えが適しているケースは?
屋根の葺き替えが適しているケースは、
- 雨漏りしている
- 瓦全体が劣化している
- スレート屋根で下地が劣化している
- 金属屋根で下地が劣化している
- 築30年以上で屋根のメンテナンスをしていない
- 屋根にアスベストが使われていない
- 屋根葺き替えの予算が十分にある
このようなケースになります。
屋根の表面の劣化であれば、一部を修繕するだけで問題ないケースもありますが、屋根の内部まで劣化が進んで雨漏りしているケースや、全体の劣化、耐用年数が過ぎた状態であれば、屋根の葺き替えが適しています。
まとめ
屋根の葺き替えの費用相場は、30坪の住宅で150万円〜250万円が目安です。屋根材や屋根の面積などによって費用は前後します。
雨漏りなどの内部の劣化や屋根全体の劣化があり、アスベストが使われていないのであれば、屋根の葺き替えすることで、大切なお住まいの寿命を伸ばしてあげることができます。
屋根の葺き替えの費用を安く済ませるためには、複数業者から相見積もりをとることがおすすめです。
1社だけの見積もりの場合、相場より高い金額を提示されるケースや全体の修理が不要で葺き替えを勧められるケースがあるため、相見積もりをすることで、損をするリスクを抑えることに繋がります。
