「無機塗料って良さそうだけどちょっと高いかもな…」と無機塗料でいいのか迷っていませんか?
無機塗料は数ある塗料の種類の中でも最高峰の品質を誇る塗料。
耐久性が高い分単価も高いですが一方でトラブルになるケースもあり、信頼できる塗料を使ったり、工務店や塗装店に依頼することが重要になってきます。
本記事では無機塗料への疑問を解消できるように特徴やメリットデメリット、耐用年数と単価、おすすめメーカーの塗料などまとめました。
- 無機塗料は最高グレードの塗料
- 職人の腕が問われる
- 無機塗料が適さない材質もある
無機塗料はどんな塗料?
無機塗料は有機塗料と比較して有機物である炭素を含まない無機物が主成分であるため、紫外線で劣化しにくく非常に高い耐久性を持っている塗料です。
『劣化しにくく』とお伝えしたのは完全に無機物だけになるとガラスやレンガのようなものになり壁に塗れないため、無機物はあくまで主成分で実際は有機物も塗料には混ざっているからです。
ちなみに、有機塗料はアクリル、ウレタン、シリコン、フッ素などの樹脂を使ったものです。外壁の色褪せ、日焼け、触ったときに粉のようなものがでるチョーキングはこの有機物が原因です。
無機塗料はフッ素とセラミックのハイブリッドが主流で、フッ素塗料とは呼ばれず無機塗料や無機系、ハイブリッドなど様々な呼び方があります。
無機塗料のメリットデメリット

無機塗料のメリットとデメリットをそれぞれお伝えします。
無機塗料のメリット
無機塗料のメリットは以下の通りです。
- 耐久性が高い
- 変色に強い
- 汚れに強い
- 燃えにくい
それぞれのメリットについて詳細をお伝えします。
耐久性が高い
無機塗料はとにかく耐久力があるのがメリットです。耐用年数が最大25年と塗料の中でも最長で紫外線や雨風に強く耐候性が高く長い間外壁を守ってくれます。
有機塗料の最高グレードであるフッ素と比較しても光沢が長持ちすることが各メーカーの実験でも実証されているため、折り紙つきと言えるでしょう。
変色に強い
無機塗料は紫外線の影響を受けづらいため他の塗料と比較して変色に強く、塗ったときの色合いを保持してくれます。
また、カビやコケの栄養になる有機物の含有が少ないため、これらにも強くカビやコケが原因で変色することも長期間ありません。
汚れに強い
無機塗料は光触媒塗料のように親水性が高いため汚れを浮かび上がらせて雨で流すことができるセルフクリーニング機能があります。
そのため、汚れにも強く美しい外観を長い間保ちやすいのがメリットです。
燃えにくい
無機塗料は無機物が主成分であるため、有機塗料と比較して燃えにくい性質があります。
無機塗料のデメリット
無機塗料のデメリットは以下の通りです。
- 工務店の腕が求められる
- ひび割れしやすい
- 素材によっては塗れない
- ツヤなしが選べない塗料がある
それぞれのデメリットについて詳細をお伝えします。
工務店の腕が求められる
無機塗料は一定の厚みで塗らないと耐用年数が落ちます。他にも、洗浄や上塗り塗料を塗る前の施工が甘かったりすると効果を十分に発揮できないケースもあります。
そのため、無機塗料を熟知しており効果を発揮させることのできる腕のある職人さんがいる工務店に依頼しないと、金額は高かったのに耐用年数が長くなかったということになりかねません。
ひび割れしやすい
無機塗料は無機物が主成分であるため塗膜が硬く、比較的ひび割れしやすいです。そのため、モルタルやコンクリートなどひび割れやすい素材には向きません。
ただ、塗料に弾性という柔らかくなる機能を付与したものであればこのデメリットも解消できます。
素材によっては塗れない
無機塗料は塗膜が硬いため、伸び縮みする木とは相性が悪く基本的に塗装はできません。それ以外にも、ガルバリウム鋼板の中にも相性が悪いものがあります。
また、窯業系サイディングボードに対応してないものもあるため、営業の方ではなく外壁の知識がある工務店や塗装店に一度ご自宅の外壁を見てもらうことをおすすめします。
ツヤなしが選べない塗料がある
無機塗料はツヤなしがない塗料があります。基本的に5分ツヤや3分ツヤまでのものが多く、マットな仕上げを選べないのはデメリットです。
ただ、ツヤありの方がツヤの成分が紫外線を拡散させてくれるため、劣化しづらく耐久力が高くなります。
無機塗料の耐用年数や単価と他の塗料の比較
塗料の種類 | 耐用年数 | 1㎡あたりの価格 |
---|---|---|
ラジカル制御塗料 | 12年〜16年 | 2,500円〜3,000円 |
遮熱・断熱塗料 | 10年〜20年 | 2,200円〜5,500円 |
光触媒塗料 | 15年〜20年 | 4,200円〜5,000円 |
無機塗料 | 20年〜25年 | 5,000円〜5,500円 |
無機塗料の耐用年数は20年〜25年、1㎡の単価は5,000円〜5,500円と様々な種類がある中でも最も耐用年数が長くその分高額です。
現在主流なシリコン塗料の単価は2,300円〜3,000円であるため2倍前後の価格です。
最高の品質を求めたいのであれば間違いなくおすすめできる塗料ですが、予算を抑えたいのであれば他の塗料を選んだ方がおすすめです。

無機塗料のおすすめメーカーと商品
無機塗料のおすすめメーカーと商品をお伝えします。
日本ペイント・アプラウドシェラスターⅡ
アプラウドシェラスターNEOは、水性・2液型の無機塗料で圧倒的な耐候性と低汚染性を持っています。
弾性機能が付与されてるタイプなのでひび割れが気になる方でも安心できます。
数々の塗料を作成している日本ペイントの中でも建築用塗料の中で一番グレードが高く、メンテナンスが難しい高層ビルに使われる塗料です。
コンクリートやモルタル、アルミカーテンウォールなどに適しています。
日本ペイント・ニッペパーフェクトセラミックトップG
ニッペパーフェクトセラミックトップGは、水性・2液型の無機系塗料で日本ペイントのパーフェクトシリーズの最高位の無機塗料です。
アプラウドシェラスターⅡと比較して弾性機能は付与されていませんが、ツヤ消しが選べます。また、ラジカル制御機能が付与されています。
窯業系サイディングボードやALCパネルなどに使うことができます。
関西ペイント・アレスダイナミックMUKI
アレスダイナミックMUKIは水性・1液型でフッ素と無機のハイブリッド型の塗料です。
ダイナミックシリーズの最上位モデルで窯業サイディング、コンクリート、モルタル、スレート、鉄部、亜鉛メッキなど幅広い素材に対応しています。
強力な密着力で弾性下地にも対応するなど最上位モデルとして遜色ない機能を持っています。
エスケー化研・スーパーセラタイトF
スーパーセラタイトFはエスケー化研の中でも最上位のモデルで水性・1液型の塗料です。
セラミック(無機)とフッ素で作られておりエスケー化研の分類ではフッ素塗料に分類されていますが、無機系として紹介されているものは耐用年数が短かく、ハイブリットタイプのこちらを紹介いたします。
耐候性、耐久性が非常に強く1液型であるため作業性が高く、適合する素材の幅が広いのが特徴です。
また、ラジカル制御機能が付与されており、通常タイプと弾性タイプと2種類から選べます。
無機塗料にトラブルはないのか?
無機塗料でトラブルが起こる可能性はあります。
何故なら無機塗料には様々な種類があり、どのくらいの濃度であれば無機塗料と表記できるのか定義がないからです。
そのため、無機物がごく少量しか入っていないのに『無機塗料』と表記することができてしまい、高い金額を支払ったにも関わらず耐用年数が短いということが起こる可能性があるのです。
また、無機塗料は外壁を塗装する職人さんの腕も問われる塗料です。トラブルを避けるためには、
- 品質が確かな大手メーカーの塗料を使う
- 信頼できる工務店・塗装店に依頼する
この2つが重要と言えるでしょう。
無機塗料のよくある質問
- 無機塗料は半永久的な耐久力があると聞いたけど本当?
-
工場を持っている企業に委託してOEMで塗料を製造するケースでそのような謳い文句があるかもしれませんが、半永久は誇大です。無機塗料は大手メーカーでも最大25年ほどの耐用年数であるため、塗料を販売するための営業トークであると考えられるでしょう。
- 無機塗料は次に塗装するときによくないと聞きましたがなぜですか?
-
無機塗料の塗膜と新しい塗膜が密着しにくくなるケースがあるためです。特に塗ってから年数が浅い場合は再塗装が難しくなりますので注意が必要です。
まとめ
無機塗料は最高品質の塗料で価格は高いですが、その分耐用年数が長く公共建築物に使われるほどの信頼性があります。
ただ、職人さんの腕によっては効果を発揮できなかったり、ツヤありなしを選べない塗料があったり、塗料によっては塗れない材質もあるため、注意が必要です。
条件が合うのであれば外壁を守る上で非常に頼もしい塗料であるため、塗料の性質を理解した上でご自身の考えにマッチしていればおすすめの塗料です。