外壁塗装における足場の単価は、700円〜800円/㎡が平均的な相場です(2階建の場合)。
その他に、塗料の飛散を防ぐための足場の養生の単価が200円/㎡ほどであるため、養生代も含めると1,000円/㎡が適正な足場の相場と言えます。
中には、「足場代が今なら無料になります」というセールストークもありますが、そのような営業をする業者は悪徳業者の可能性が高いため、注意が必要です。
本記事では、足場の単価や相場、足場の種類と単価への影響、自宅を外壁塗装した場合の足場代の概算方法、足場無料が危険な理由などをまとめてお伝えします。
- 足場の単価相場は700円〜800円/㎡で、養生代込みでも1,000円/㎡
- 屋根塗装や3階建の塗装の場合、1,500円/㎡ほどになることも
- 足場無料は他の費用に上乗せされるだけなので危険
そもそもなぜ足場が必要なのか
「足場がない方が、外壁塗装の費用は安くなるのでは?」と考える方もいるかもしれません。
足場が必要なのは、作業する職人さんの安全性を保ち、作業日数を減らしつつ、質が高い外壁塗装を実現するためです。
極端な話、平家であれば、脚立を使って外壁塗装をすることも可能かもしれません、その場合、
- 外壁に塗料を均等に塗るのが難しい
- 外壁を塗るのに時間がかかり作業日数が増える
このようなリスクが発生し、かえって外壁塗装全体の費用が増える可能性があります。
塗料は、均等に塗れずムラが出ると耐久性が落ちるため、耐用年数が本来より短くなり、外壁塗装をしなければならないサイクルが短くなるのです。
外壁塗装の作業に足場が必要なのは、トータルコストを考えたときに安く済み、お客さまご自身にメリットがあるからなのです。
足場の単価や費用相場
冒頭でもお伝えしましたが、足場の単価は700円〜800円/㎡で、足場の養生代(粉塵飛散防止ネットなど)が200円/㎡ほどであるため、トータルで1,000円/㎡までにおさまることがほとんどです。
ただ、三階建ての場合は、二階建ての方に比べて必要な足場が多く、+100円〜200円/㎡ほど単価が高くなります。
一般的な30坪2階建の住宅では、約20万円が足場の費用相場です。
30坪以外のご自宅にお住まいの場合は、続いて足場面積と足場相場を表にしましたので、そちらをご覧下さい。
足場面積と足場相場の表
坪数 | 概算平米数 | 足場面積 | 足場の費用(養生代含む) ※1,000円/㎡と仮定 |
---|---|---|---|
20坪 | 66㎡ | 155㎡〜169㎡ | 155,000円〜169,000円 |
25坪 | 83㎡ | 170㎡〜184㎡ | 170,000円〜184,000円 |
30坪 | 99㎡ | 185㎡〜199㎡ | 185,000円〜199,000円 |
35坪 | 116㎡ | 200㎡〜214㎡ | 200,000円〜214,000円 |
40坪 | 132㎡ | 215㎡〜229㎡ | 215,000円〜229,000円 |
45坪 | 149㎡ | 230㎡〜244㎡ | 230,000円〜244,000円 |
50坪 | 165㎡ | 245㎡〜259㎡ | 245,000円〜259,000円 |
55坪 | 181㎡ | 260㎡〜274㎡ | 260,000円〜274,000円 |
60坪 | 198㎡ | 275㎡〜289㎡ | 275,000円〜289,000円 |
こちらがご自宅の坪数と足場面積、足場の費用相場(養生代含む)の表です。
この表をご覧いただくと足場代が、理由なく40万円を超えるケースは、本来より利益を乗せている可能性があることがお分かりいただけるかと思います。
足場の種類と単価や費用相場の違い
足場の種類で、単価や費用相場は若干変わってきます。そのため、外壁塗装の現場で使われる足場の種類について簡単にお伝えします。
単管足場

単管足場は、支柱となる鉄パイプを組み合わせてつくる簡易な足場です。アンチ(足場の床)がなく、2本のパイプの上で職人さんは作業をします。
こちらがアンチの画像です。

シンプルで、設置に必要なスペースが小さい上にコストも安く、組み立ての自由度が高いため、建物の形状に対応する柔軟性が高い特徴を持ちます。
デメリットは、これからご紹介するくさび式足場と比較して安全性が低いことです。また、塗料をおくスペースが確保できないため、作業スピードが落ちます。
単管足場の単価・費用相場は、500円〜800円/㎡です。
単管ブラケット足場

単管ブラケット足場は、単管足場にブラケットと呼ばれる三角形の部材を使い、アンチを固定する足場です。
床があるため、単管足場と比較して、安全性や作業性が高いのが特徴です。一方、ブラケットを取り付ける時間がかかるため、設置の時間は単管足場と比較して長くなります。
単管ブランケット足場の単価・費用相場は、600円〜900円/㎡です。
くさび式足場(ビケ足場)

くさび式足場(ビケ足場)は、骨組みとなる鉄パイプと、職人さんが歩ける床部分のアンチで作られる足場です。
くさび式足場には主に、キャッチャー、三共、ビケの3種類があり、戸建ての塗装ではビケが使われることが多いため、ビケ足場とも呼ばれます。
設置が早くでき、安全性や耐久性が高いのが特徴です。一方で、隣家との間が狭いと使用が難しかったり、塗装業者が所有していないとリースとなり、単価が上がる可能性があります。
くさび式足場の単価・費用相場は、800円〜1,000円/㎡です。
枠組み足場(ビティ足場)

枠組み足場(ビティ足場)は、単純な支柱ではなく、建て枠とアンチを組み合わせて設置する足場で、構造が簡単であるものの強度があります。
地上45m(15階ほどまで)に対応しており、どちらかというと、アパートやマンションなどの外壁塗装や工事で使われることが多い足場です。
設置に場所をとるため、隣家との間隔が狭いケースが比較的多い戸建てでは、あまり使われません。
戸建てで使われるケースとしては、ビケ足場では対応が難しい10m以上の住宅や3階建て以上の住宅に使われます。
枠組み足場の単価・費用相場は、1,000円〜1,500円/㎡です。
足場の見積もりが相場から乖離してないか確かめる計算方法
ご自宅を外壁塗装する際の足場の面積は、家の外周を知るだけで計算できます。その金額を見積もりと突合することで相場からの乖離を確認できます。
足場は外周より0.5mほど外に作られることが多いです。
仮に、横10m×縦5m、高さが6mの住宅の場合で計算してみましょう。

家の外周は、2面分あり、片方に0.5mの足場の長さを足します。
- 横…(10m+0.5m+0.5m)×2面=22m
- 縦…(5m+0.5m+0.5m)×2面=12m
で、22m+12m=34m。
足場の外周の長さは34mです。
足床面積は、「外周×足場の高さ」となります。足場の高さは、通常、家の高さ+1mです。
そのため、足場面積は、外周34m×(家の高さ6m+1m)=238㎡。
足場面積は238㎡です。
平米数が分かれば、足場の単価と掛け算するだけです。
養生代を含めて仮に1,000円/㎡だった場合、238㎡×1,000円=238,000円。
足場の合計金額は238,000円です。
このように足場代の概算を計算できるため、相場と乖離していないか確かめてみて下さい。
足場の見積もり単価が相場と乖離している場合に起こること
足場の見積もり単価が相場と乖離している場合に起こることを、相場から高すぎる乖離のケースと、相場から低すぎる乖離のケースに分けてお伝えします。
高すぎる場合
足場の単価が、相場より高すぎるケースでは、その他の費用が上乗せされている可能性があります。
30坪2階建ての戸建てであれば、見積書の単価が1,200円を超えている場合、注意が必要です。
お客さまが部材などの原価を知らないことが多く、情報の非対称性(情報量の差)が大きいため、建築業界の風習として、他でかかったコストや利益をわからないように上乗せすることがあります。
つまり、お客さまが知らないのをいいことに、「バレなそうだから、利益を上乗せしてしまおう」と考えている可能性があるということです。
先ほど、30坪2階建ての戸建てと説明したのは、足場の単価のところでもお伝えしたように、屋根塗装や3階建ての戸建ての塗装の場合、単価が高い足場を使わなければならないためです。
そのため、足場の単価・費用相場についてお話した上で、納得できる答えがかえってくるのか質問してみましょう。
安すぎる場合
足場の単価が、相場より安すぎる場合は、
- 他の項目で上乗せされている
- 手抜き工事などのトラブルが起こる
主にこの2つのケースが考えられます。
他の項目に上乗せされていた場合、実質的にトータルの価格は変わらないため、悪質なセールストークの1つと言えます。
仮に相場より大幅に安かったとしても、外壁塗装を行う業者は、営業担当が受注した価格では、利益が出ずに赤字になる可能性があります。
そのため、人件費、材料費などを削りどこかで採算を合わせることになります。
その結果、本来3回塗る必要があるところを、2回にして材料費と人件費を浮かす、といった手抜き工事に繋がり、価格に見合った耐用年数を得られなくなるのです。
足場無料が危険な理由
足場無料が危険な理由は、相場より単価・費用が安すぎる場合でお伝えした通り、手抜き工事につながるからです。足場の設置には必ずお金がかかります。
- キャンペーン中なので、足場代が無料
- 近所で外壁塗装をしており、運搬費がかからず今なら無料
- モニター価格で、特別に安くなる
このように契約を急かすようなセールストークに理由があります。
「特別に」「今だけ」など限定性や時限を作って契約を迫る営業をされたら、その場では契約するのはNGです。
また、営業担当がいる場合、外壁塗装の見積もりのは、営業担当の人件費が乗り、相場より高くなることが一般的です。
できるだけ、費用を抑えて、質の高い外壁塗装を実現したい場合、地域密着型の塗装業者に相見積もりを取る方が確実でおすすめと言えます。
まとめ
足場の単価・費用相場は、700円〜800円/㎡が一般的で、塗料の飛散防止などの費用を含めても1,000円/㎡ほどです。
ただ、屋根塗装を含めたり、3階建ての場合は、それ以上の単価となるケースもあります。
また、外壁塗装業者が、自社で足場を持っているかいないかも単価に影響を与えます。
相見積もりをすれば、相場から乖離した見積もりを防げるメリットがあるため、外壁塗装を検討されている場合、ぜひ一度利用されてみてはいかがでしょうか。
