外壁塗装は、一番目につく外壁を美しく塗り替えるので、外観や機能回復ができる、重要なメンテナンスの1つ。
しかし、建築業界にいない限りは、情報に触れる機会がなく、
「外壁塗装は、どんな流れで行われるの?」
「期間は、各工程、どのくらいかかるの?」
と、外壁塗装を検討し始めた方が、気になるのは自然なことです。
外壁塗装の施工の流れ・工程ごとの手順・期間などを解説しますので、外壁塗装を検討しているあなたのお役立てましたら幸いです。
- 外壁塗装にかかる期間はおおよそ7日〜14日
- 外壁塗装は3回塗りが基本
- 工期が短い場合は手抜きの可能性がある
外壁塗装の施工の流れ
外壁塗装の準備、着工から竣工、施工全体の流れは、下記の通りです。
- 近隣への挨拶回り・工事準備
- 仮設足場の設置
- 高圧洗浄
- 下地処理(基材の補修)
- 下塗り
- 中塗り
- 上塗り(仕上げ塗り)
- 検査・手直し
- 仮設足場の撤去
外壁塗装の施工の流れをご覧になって、疑問に思われる方が多い、3回塗りの必要性、足場の必要性について簡単にお伝えします。
外壁塗装の施工の流れの疑問その1・なぜ3回塗りが必要なのか
施工の流れを見て、
「なぜ、3回も塗るの?」
と感じる方がいるかもしれません。
外壁塗装においては、3回塗り(下塗り、中塗り、上塗り)が基本です。
3回塗りが必要な理由は、1回塗りや2回塗りだと接着性が確保できないので、塗料がすぐ剥離してしまい紫外線や雨などに耐えるだけの塗膜が形成されないからです。
悪徳業者の場合、2回塗りにすることで、工期を短くして人件費を浮かせたり、塗料代を浮かせて不正に利益を出すケースもあるため、見積書が3回塗りになっているか確認しましょう。
外壁塗装の施工の流れの疑問その2・足場は必要なのか
「仮設足場って何?必要なの?」
と感じる方もいるかもしれませんが、結論からお伝えすると足場は基本的に必要です。
理由は、工期を短縮し、安全に質の高い塗装をするために必要だからです。
例えば、平家の場合、脚立を使って外壁の高い部分を塗ることは物理的に可能でしょう。
ただ、日数が多くかかり人件費が高くなったり、塗料の塗り方にムラができて本来の塗料のパワーが発揮できない可能性が高まるので、デメリットの方が大きくなります。
そのため、足場は必要なのです。
外壁塗装の各工程の手順と期間
外壁塗装にかかる期間は『7日〜14日間』が一般的です。
もちろん季節や天気、職人さんが1日何人来るのかなどで期間は変わってきます。
例えば、湿気が多く天気にも恵まれない場合、3週間〜1ヶ月かかるケースもあります。また、天気に恵まれたとしても最低7日間はかかるでしょう。
逆に、7日間以内で提案してくる業者には注意が必要です。乾燥時間を短くしたり、2回塗りしかしなかったり、いわゆる『手抜き工事』の可能性があります。
先ほど、外壁塗装の施工の流れでお伝えした、
こちらの各工程の手順と期間をお伝えします。
近隣への挨拶回り・工事準備
外壁塗装の工事期間中は、臭いや音がどうしても出てしまうため、近隣の方に迷惑をかけてしまいます。
そのため、事前の挨拶回りをすることによって、近隣の方々の理解を得ることが欠かせません。
臭いや騒音のトラブルを避けられ、職人さんも作業を効率良く行えるようになるため、挨拶回りは非常に重要です。
工事の期間や、どのような作業をするのかを近隣の方々に伝え、菓子折りなどをお渡ししましょう。
期間の目安は1日です。

仮設足場の設置
仮設足場の設置は、外壁塗装において必要不可欠です。
また、足場と同時に、塗料の飛散を防ぐ飛散防止シートも設置します。
仮設足場の設置は、飛散防止シートの設置も含め、約1~2日間かかります。

高圧洗浄
高圧洗浄は、外壁についている汚れを落とす作業です。
名前の通り、専用の機械を使い、水圧で汚れを落とします。
洗浄後は、24時間〜48時間の乾燥時間が必要であるため、1日〜3日ほど期間が必要です。
天候や時期によっては乾くスピードが遅く時間がかかる可能性があります。

下地処理(基材の補修)
外壁に塗料を塗る前に実施するが『下地処理』です。
下地処理は、
- ケレン作業…下地汚れの除去
- クラック補修…ひび割れを直す作業
- コーキング補修…外壁材の間を埋める
この3種類が主な作業です。下地処理に高圧洗浄を含める考えもありますが、期間を細かくお伝えするために段落を分けています。
劣化状態によって、日数が伸びることもありますが、1日〜が期間の目安です。

ケレン作業
『ケレン作業』は下地の汚れを除去して、下地(基材)と塗膜の接着性をよくする役割があります。
この下地処理をしっかり行わないと塗膜剥離の原因となるため非常に重要な作業です。

クラック補修
クラックは、ひび割れのことです。
ひび割れた基材(外壁材)の状態(劣化度合いなど)を把握した上で、適切な補修をする必要があります。
例えば、軽微なひび割れであれば下塗りをするだけで大丈夫なのですが、ひび割れ幅が0.2㎜以上ある場合などは専用の補修材で補修する必要があります。
コーキング補修
サイディング外壁の、外壁材と外壁材の間の継ぎ目が劣化している場合、コーキング補修が必要です。

下塗り
下地処理が終わりましたら、いよいよ塗り作業となります。まずは、下塗りを施工します。また、この段階で、塗装しない部分に塗料が飛び散らないように養生(マスキングテープなど)で覆います。
下塗りの役割は、基材と塗料の接着性をよくすることです。
下塗りがしっかり施工できていないと剥離など接着不良を起こす原因となりますので、重要な作業となります。
下塗りの期間は、半日〜1日が目安です。
下塗りを含む、塗料を塗る段階で重要なのは、乾燥させる時間をしっかりとっているかです。
乾燥しないまま次の塗料を塗ると、本来の機能を発揮できず剥がれの原因になるため、手抜き工事をされないためにも、事前に塗料の乾燥にどのくらいの時間がかかるかを聞くようにしましょう。
下塗り塗料としてよく使われるのが
- シーラー・プライマー
- フィラー
です。シーラーとプライマーは同じ材料として考えていただき問題ありません。
基材の状態により使い分ける必要があります。どのように使い分けるのかご説明します。

シーラー・プライマーとは
痛み具合によっては、外壁が塗料を吸い込んでしまうことがあります。シーラー・プライマーは、外壁に吸い込ませることで、中塗り材の吸い込みを防ぐ役割があります。
吸い込み具合によっては、下塗りを2回施工することがあります。

フィラーとは
フィーラとは、軽微なひび割れや、段差を平滑にする際に用いられる材料です。
もっともよく使われるフィラーは『微弾性フィラー』といい、シーラーとフィラーの特性を合わせ持った材料です。
中塗り
下塗り作業が終わったら、次は中塗り作業です。中塗り材は、基本的に上塗り材と同じ塗料を使います。
いわゆる上塗りを2回行うイメージです。
中塗りは、膜厚を確保する・上塗り材との接着性を良くする役割があります。
中塗りをしっかり施工しないと、塗料の膜厚(まくあつ=塗膜の厚さ)が確保できず、ムラができてしまいます。
中塗りの工程にかかる期間は1日が目安です。
中塗り塗料は希釈率(薄める度合い)が重要
塗料は、基本的に原液をそのまま使うわけではなく、希釈剤と呼ばれる材料と混ぜて使用します。
水性塗料だと『水』を油性塗料だと『シンナー』が希釈剤です。
なぜ希釈するのかというと、粘度が高い状態で塗ると、ハケやローラーで塗ったときにムラやシワが出てしまい仕上がりが悪くなるためです。
そうならないために、希釈し粘度を低下させて塗りやすくする目的があります。
ここで注意したいのが、塗料を節約するために、必要以上に薄める悪徳業者がいることです。どのくらい希釈するかは塗料によっても異なり、確認が難しい部分なので、信頼できる業者を選ぶことが重要です。
上塗り
中塗り作業が終わったら、最後は上塗り作業となります。
最後の仕上げ塗りになりますので、見た目にも気を遣いながら丁寧に作業する必要があります。
上塗りの役割は、中塗り作業でのムラをきれいにしたり膜厚をつけることです。
中塗りと同じ塗料が使われますが、優良業者はムラを発生させない目的で、塗った時に違いがわかるように中塗り塗料と同系色の若干違った色を使います。
上塗りの工程の期間は1日が目安です。

検査・手直し
塗装の仕上がりを職人さんや施工業者が確認する工程です。
塗り残しやムラ、その他気になるところがあれば指摘し、手直しをしてもらいます。
検査・手直しの工程は1日ほどかかります。
仮設足場の撤去
すべての工程が終わったら片付け清掃を行い、足場を解体します。
その際外壁塗装に足場をぶつけないよう注意する必要があります。
解体が完了したら近隣に完了の挨拶をするのも良いでしょう。
足場の撤去・解体の期間は、おおよそ1日かかります。

外壁塗装にかかる期間が長くなるケースとは?
外壁塗装の工期が長くなってしまうのは、
- 雨や風の影響
- 湿度の影響
- 気温の影響
- 塗料の影響
- 外壁の状態の影響
このような5つの影響が考えられます。
それぞれのケースについて具体的にお伝えします。
雨や風の影響
雨や台風によって、外壁が濡れてしまうと、乾燥が遅れてしまい作業がストップしてしまいます。
また、雨や風が強い日は、塗料の付着が悪くなったり、ホコリなどの汚れが付着する可能性があったり、強風で足場に登れないなどの理由から作業ができず、工期が伸びます。
湿度の影響
塗料の乾燥は、湿度の影響を受けます。
そのため、湿度が高い夏や梅雨の時期、湿度が高い盆地にお住まいの場合は、高圧洗浄後の外壁や、塗装した塗料が乾きにくくなり期間が伸びる可能性があります。
気温の影響
塗料の乾燥は、気温の影響も受けます。
そのため、冬や日が当たらない場所であったり、寒い地域の場合は、乾くまでに時間がかかり、期間が伸びる可能性があります。
塗料の影響
塗料の乾燥スピードは、塗料の性能にも影響されます。
乾燥が早い塗料と遅い塗料には差がありますので、乾燥が遅い塗料を使った場合は、工期が伸びる可能性があります。
外壁の状態の影響
外壁の劣化が激しかった場合は、下地処理に時間がかかる可能性があります。
他にも、家の形状が特殊で、塗るのに時間がかかったり、足場の設置・撤去に時間がかかるなどの理由から、外壁塗装全体の期間が長くなる可能性があります。
外壁塗装にかかる塗装期間を短縮するには?
外壁塗装の期間は、7日〜14日ほどかかりますが、塗装の期間を短縮する方法もあります。
どうすれば塗装期間を短縮することができるのか、
- 一日に入る職人さんを増やす
- 塗装の時期を変更する
2つの方法についてお伝えします。
一日に入る職人さんを増やす
基本的に、1日に入る職人さんは1~2人で作業します。
仮に、3人来てもらえれば作業は早く終わり、期間を短縮できます。
ただ簡単に増やすことはできません。それは、塗装業者さんも他の工事も同時進行していることが多々あるためです。
もし、他の仕事との兼ね合いで、職人さんの手が空いていれば来てもらえることもあるかもしれません。
また、職人さんの人数が増えるということは、人工(いちにんく=職人さん1人が1日働く作業単位)が増える、人件費がかかるので、期間が短くなったとしても価格面でメリットが出るとは限りません。
塗装の時期を選ぶ
塗装の時期を雨が降りにくく乾燥している季節にすることで、工期が短くなります。
具体的には、春や秋が塗装に最適な時期となります。
しかし、春や秋は塗装の予定が入りやすく、繁忙期なので費用が高くなる傾向があります。
早めに塗装時期の打ち合わせした方がいいでしょう。
まとめ
外壁塗装を業者さんにお願いするにあたり、各工程の知識やポイントを押さえていた方が、失敗する確率を減らすことができます。
外壁塗装の施工の流れや、各手順の工程、期間の知識を押さえることで、
- 見積もり書に3回塗りの記載があるか
- 下地の状態を見て下地処理を考えているか
- 全体の工事時期に問題はないか
- 適切な乾燥時間を取りすぐに塗料を塗ってないか
- 塗料を薄めるなどの手抜きをしていないか
といった外壁塗装の成功に欠かせない重要なポイントの確認もできるようになります。
塗装業者さんも最近ネットで調べると色々な会社が出てきますが、悪徳業者の施工による失敗をしないためにも、複数の見積りを取得し、どの業者が信頼できるかを見極めて発注することをおすすめいたします。
複数の見積もりを取るのは手間がかかるため、相見積もりサービスを使うのも1つの方法です。

